9月11日 第3回定例会

2番(井上ノエミ君) みんなの党の井上ノエミです。よろしくお願いいたします。
 まず、国産観光都市すみだの実現についてお伺いします。
 東京都の調査によれば、日本に来る外国人観光客が最も困ることは、スマートフォンやタブレットを無料で接続していろいろな情報を得られるWi-Fiの設備が少ないことです。
 私は、今年の夏にアメリカに行きました。ニューヨークでは、公園や観光スポット、美術館には無料のWi-Fiスポットがあります。例えば、セントラルパークには3カ所の無料のスポットがあります。また、メトロポリタン美術館、現代美術館などにも無料のWi-Fiがあります。特に、公園にまで無料のWi-Fiがあるのには驚きました。このサービスは、ニューヨーク市の公園局とAT&Tという電話会社が共同でやっています。また、場所によっては10分だけただで1日99セント、これは100円ぐらいです。大変安いです。
 墨田区としては、これまでに観光案内所に無料のWi-Fiの設備を付けています。しかし、吾妻橋も両国の観光案内所も座る場所もなく、ゆっくりWi-Fiを使って調べられる環境ではないと思います。江戸博の観光案内コーナーとスカイツリーのすみだまち処に付けられているのは大変良いと思います。是非、すみだ北斎美術館や将来、両国公会堂の場所にできる施設にもWi-Fiを付けていただきたいと思います。
 また、墨田区役所も浅草から観光客が流れてくるルートにあります。観光客以外にも区民にも役立ちます。災害のときにも役立ちますから、区役所の1階に無料Wi-Fiを入れてはどうでしょうか。
 次に、区役所の1階のオープンスペースには、大型の液晶テレビを付けて墨田区の観光案内を流せば、観光客だけではなく、区民に対しても墨田区の良さを宣伝できると思います。例えば、葛飾北斎がいかに偉大な芸術家であったかも宣伝できます。また、それ以外にも、区議会の開催中には、議会の中継にも使えます。区役所の1階の一部を観光案内の場所として使用してはいかがでしょうか。お伺いします。
 次に、外国人観光客が日本に来て観光の情報を得るのは、観光案内のホームページです。また、フェイスブックなどのソーシャルメディアです。日本でも中高年のフェイスブックの使用が大変増えています。墨田区観光協会のホームページは、英語などの外国語のサイトもあり、よくできていると思います。
 しかし、重要なのは、ホームページとフェイスブックなどのソーシャルメディアをつなぐことです。残念ながら、観光協会のホームページのイベント情報をフェイスブックにシェアする機能がありません。日本人のフェイスブックの利用も広がっていますので、是非、今後検討していただきたいと思います。
 次に、外国人観光客が日本で不便を感じる2番目の問題が、コミュニケーションの問題です。
 オリンピックに備えて、区として、例えばボランティアを養成するなどの積極的な対策をとる必要があると思いますが、区長のご見解を伺います。
 次に、すみだ北斎美術館についてお伺いします。
 今年の夏に、アメリカのニューヨークのメトロポリタン美術館、ワシントンのナショナルギャラリー、ボストン美術館を訪問しました。どこでも、日本美術では北斎の作品が展示されていて、北斎がいかに世界で高く評価されているか、よく分かります。また、今週からは、上野の森美術館でボストン美術館浮世絵名品展北斎が開かれます。私がボストンで会った北斎専門家のセーラ・トンプソンも講演します。是非、区長にも参加していただきたいと思います。また、トンプソンさんが16日に墨田区を訪問して、区長と議長に表敬訪問しますので、よろしくお願いいたします。ボストン美術館とのネットワークができればいいと思います。
 北斎美術館については、今年の予算特別委員会で質問しましたが、企画展をやって集客するというご答弁でした。この企画展は、国内の美術館の作品を借りてやるのでしょうか。それとも、外国にある北斎の作品も借りてきて展示するのでしょうか。山崎区長にお伺いします。
 次に、今年の夏に訪問したアメリカの美術館で印象的なのは、ミュージアムショップが充実していることです。デザインの良いすばらしいお土産がたくさんありました。大変値段の高い、例えば1万円以上するすばらしいお土産がたくさんあって、一生の記念になるような品物が大変多く販売されています。ミュージアムショップが大事な収入源になっています。
 しかし、日本では、例えば江戸東京博物館でも500円とか1,000円とか、値段的には手頃ですが、外国人が記念に自宅に飾っておけるような製品は大変少ないです。江戸博の墨田区の観光案内コーナーのほうが良いものを販売しています。墨田区の中小企業の支援のためにも、是非ミュージアムショップを充実していただきたいと思います。山崎区長にお伺いします。
 次に、葛飾北斎は墨田区が世界に誇れる偉大な芸術家です。残念ながら、多くの区民が北斎についてあまり知りません。もっと区民に北斎について宣伝する必要があります。偉大な芸術家のための美術館ですから、是非、区民が誇れる品格を持った美術館であるべきと思います。北斎美術館の募金のためのパンフレットもできました。北斎とヨガなど、北斎の作品に関連するイベントをやることはいいのですが、芸術家北斎にあまり関係のないような企画が行われないようにしていただきたいと思います。区民に親しみやすい美術館であることは大事ですが、あくまでも芸術の場所であってほしいと思います。この点について、区長のご見解をお伺いします。
 次に、学校教育について、横山教育長にお伺いします。
 最近、よく子どもの自殺が新聞で報道されています。先日も、大田区で小学生の女の子2人が一緒に飛び降り自殺するという悲惨な事件がありました。平成18年に自殺対策基本法が成立して、地方自治体の取組も決められています。教育委員会としては、生命尊重教育についてはどのような方針でいるのか、横山教育長にお伺いします。
 次に、葛飾北斎は墨田区が生んだ偉大な芸術家で、海外では大変高く評価されています。残念ながら、日本ではあまりその業績は理解されていません。墨田区の区民にもっと北斎の業績を理解してもらいたいと思います。
 そこで、まずは小学校、中学校で北斎についてしっかり教えていただきたいと思います。今年から、既に取組を始めていると聞いていますが、今後の取組の内容について教えてください。
 次に、世界のグローバル化の進展やオリンピックの開催決定もあり、学校での英語教育がますます重要になります。英語学習が大変難しいのは、英語の発音が日本語と大変異なるからです。年をとってからアメリカに留学した日本人は、英語がなかなか通じなくて大変苦労している人が多いです。それに比べて、若い人は発音をマスターするのも大変早いようです。したがって、小学校、中学校の英語教育において、ネイティブスピーカーであるALT、アシスタントランゲージティーチャーの役割は大変重要だと思います。このALTが頻繁に代わるという父兄からの苦情もありましたが、先生も海外から来ているので仕方がない面もあるかもしれません。ALTの派遣会社を選択する場合には、是非、その実績をよく見て決めていただきたいと思いますが、現在の会社との契約はどのようになっていますか。教育長にお伺いします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。


   〔区長 山崎昇君登壇〕

◎区長(山崎昇君) ただいまのみんなの党、井上議員さんからのご質問に順次お答えをいたします。

 最初のご質問は、国際観光都市すみだの実現についてでございます。
 まず、Wi-Fi環境の整備についてお尋ねがございました。訪日外国人観光客が母国から持参した携帯端末を使って観光情報の収集・発信をするためのWi-Fi環境の整備に対するニーズが高いことから、「産業観光プラザすみだまち処」及び観光案内所において、Wi-Fi環境を整備したところでございます。
 また、現在は、面的な環境整備はされておりませんので、今年度は試行的に外国人観光客にルーターを貸し出すサービスを実施し、区内どこにいてもすみだの観光情報の収集・発信ができることを予定しております。
 外国人環境客が多く訪れることが想定されるすみだ北斎美術館につきましては、観光情報の収集・発信に対するニーズは高いと考えますが、開館までの2年間に技術の進歩や情報環境の変化も想定されますので、それらの状況等を踏まえて対応してまいりたいと存じます。
 また、両国公会堂跡地への誘致を予定しております施設につきましては、民間の施設でもございますので、事業者にWi-Fi環境の整備を働き掛けてまいりたいと存じます。
 区役所庁舎についてですが、日本の大手通信事業者と契約をしている端末をお持ちの皆さんは、現在においても通信が可能であり、また災害時においては契約者以外も通信が可能となる予定でございます。外国人観光客を対象としたWi-Fi環境を整備していくかどうかにつきましては、庁舎におけるニーズがあるかどうかなどを調査の上、検討させていただきたいと思います。
 次に、区役所1階のオープンスペースに大型の液晶テレビを設置し、観光案内の情報を提供することについてのお尋ねがございました。
 現在、1階アトリウムには、すみだ電子情報掲示板を設置し、区内の産業や観光のご案内ができるようになっており、また、テレビで区議会本会議の中継も行っているところでございます。区内の観光案内については、多様な媒体を使って情報提供をしていく必要があると考えており、区では、区のお知らせやホームページ、ケーブルテレビ等で情報提供を行っているところでございます。
 ご提案のあった1階アトリウムのオープンスペースに、大型の液晶テレビを設置しての情報提供については、どのような情報を放映するのか、さらには具体的な設置可能なスペースなども含めて検討してみたいと存じます。
 次に、墨田区観光協会のホームページについてのお尋ねがございました。
 観光協会においては、すみだを訪れる観光客に対して、できる限り効果的に情報発信をしていくための検討及びリニューアル等の取組を、常日頃から実施していると聞いております。ホームページとフェイスブックをつないではどうかというご提案につきましても、観光協会に伝えてまいりたいと存じます。
 次に、外国人観光客のコミュニケーションについてのお尋ねがございました。
 すみだまち処、吾妻橋観光案内所、両国観光案内所の3カ所は、日本政府観光局から高い条件を満たす必要のあるカテゴリー2の外国人観光案内所としての認定を受けており、観光協会において英語対応が可能な職員を常時配置するほか、中国語、ハングル等への対応も行っているところでございます。
 一方、外国人観光客へおもてなしの心を持って案内することについては、東京都において中高生を対象として「おもてなし親善大使」育成塾が実施されるなど、幾つかの動きがございます。オリンピック・パラリンピックは、外国人観光客の方々にすみだの良さを見ていただく絶好の機会であると考えておりますので、さまざまな機会を捉えて、区民の皆様に対しておもてなしの心を持って接していただくよう働き掛けてまいる所存でございます。
 次に、すみだ北斎美術館についてのご質問についてお答えいたします。
 まず、北斎美術館の企画展についての考え方でございますが、国内外の美術館から作品借用を伴う企画展の開催は、美術館事業の中核をなす事業であると考えております。したがいまして、作品を借用するに当たっては、おのおのの美術館との人的なネットワークが重要になります。来週には、上野の森美術館で開催される北斎の「ボストン美術館浮世絵名品展」に合わせ来日されるボストン美術館のセーラ・トンプソンさんが、本区にお出かけいただけるとのことでございますので、今後の美術館同士のネットワークが強化できるように、この機会を生かしてまいりたいと存じます。
 次に、館内サービスのうち、ミュージアムショップの運営に関するお尋ねでございます。
 北斎美術館の管理運営に関する基本的な考え方につきましては、本定例会の所管委員会に報告をさせていただく予定でございますが、ミュージアムショップにつきましては、主として営利を目的とすることから、指定管理業務外とし独立採算事業として実施することとしたいと考えております。この場合、運営者につきましては、指定管理者とする場合、あるいは公募により他の事業者を選定する場合が考えられます。いずれにいたしましても、ミュージアムショップの充実を図ることは、美術館運営にとっても大変重要な要素でございますので、適切な事業者を選定したいと考えております。
 また、産業振興の観点からは、北斎通りを中心に、にぎわいを創出するような店舗の誘致についても検討してまいりたいと存じます。
 北斎美術館に関する最後のご質問は、芸術の場としてあるべき美術館のあり方についての私の見解についてでございます。
 ご指摘のとおり、北斎の偉大さにつきましては、まだまだ区民の方々を含め、多くの方々に北斎の多様さ、奥深さ、そしてその生き方について十分に浸透しているとは言えません。そのため、学校教育を通じた取組や地域の方々に北斎を身近に感じていただけるような事業展開を寄付のキャンペーンと併せて展開しているところでございます。
 もとより北斎美術館は、作品鑑賞の場としては、重要文化財の公開にふさわしい施設として、文化財保護法に基づく「公開承認施設」となることを目指しております。芸術の場としての美術館であることを核にしつつも、地域の方々に愛着を持っていただける美術館となるように、開館に向けて準備を進めさせていただきたいと存じます。
 私からの答弁は以上でございます。


   〔教育長 横山信雄君登壇〕
◎教育長(横山信雄君) みんなの党、井上議員さんからの学校教育についてのご質問に順次お答えいたします。
 まず、学校における生命尊重教育についてのお尋ねがございました。
 新聞報道等によると、都内において児童・生徒の命に関わる重大な事象が連続して発生しております。私としましても、児童・生徒のかけがえのない命が失われたことに対しまして、大変心を痛めているところでございます。教育委員会では、これらの事態を重く受け止め、先日、臨時に校長会を開催し、改めて生命尊重を基盤とした生活指導を徹底するよう指示したところでございます。
 具体的には、まず不安や悩みを訴えている子どもだけでなく、全ての子どもの表情、言動等を含め、生活状況を確認して、注意を要する子どもの洗い出しを行うという方針で取組を行ってまいります。
 現在、各学校では、教育心理検査アイチェックの分析を行うとともに、日常的な観察を通して様子の変化やサインを発する、注意を要する子どもの洗い出しを行っているところでございます。
 また、学校が把握した注意を要する子どもに対して、重点観察を行うとともに、家庭・地域等と連携して、当該の子どもを支えるための手立てを講じる取組を行っているところでございます。具体的には、全教職員が役割分担して、子どもへの声掛けや悩み事の聞き取りなどを行い、子どもの状況を再確認するとともに、学校全体でその子どもの情報を共有し、組織的に見守る体制を整えているところでございます。
 さらに、注意を要する子どもやその他の子どもに、少しでも心配な状況や悩みにつながる要因が考えられる場合には、学校が家庭や関係機関と連携して、子どもの悩みに寄り添った支援を徹底する取組を行っております。各学校のスクールカウンセラーや養護教諭、学級担任等が、当該の子どもに対して、「困ったことや心配なことがあったら必ず力になる」と伝えるとともに、面談等を通して、教職員が子どもと問題を共有しながら、解決のための助言を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、子どもの中には、報道等から影響を受け、精神的に不安定な状況になることがあり得ることから、学校組織全体で生命を尊重する指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 次に、北斎に関する学校での教育活動についてのお尋ねでございます。
 地域の偉人である葛飾北斎の業績を子どもたちに学ばせ、子どもたちが北斎や地域に誇りを持つことは、本区の教育活動に大変重要な視点であると認識をしております。
 これまでも、区立小中学校では、土曜授業等の機会を活用して、墨田区文化振興財団学芸員による北斎に関する出前授業を実施しまして、体験的な活動を通して北斎に親しみを持たせる取組を行ってまいりました。去る8月には、「富嶽三十六景」を教材とした小学生向けの指導プログラムを活用した授業について、NPO法人と連携して教員研修を実施いたしました。この研修には、中学校の教員も参加させ、中学校での授業実践について検討するとともに、北斎に関する授業に積極的に取り組むよう、各学校に働き掛けているところでございます。
 今後も、区教育研究会や墨田区文化振興財団等と連携して、教員研修や教材開発を行うなど、北斎に関する授業を積極的に実施して、学校教育の場でも北斎の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、小中学校で英語教育を行っている英語講師の派遣会社との契約についてお尋ねがございました。
 墨田区では、小学校の英語活動や中学校英語科の授業において、子どもたちに英語の音声や表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力を養えるよう、英語を母語とする外国人講師を派遣しております。小学校では5、6年生各学級に年間27時間以上、中学校においても各学校に年間50日程度配置し、ネイティブな発音に触れる機会を確保し、本物の英語に慣れ親しむ環境を整えております。
 業務委託の内容につきましては、外国人講師が担任等とともに授業を行うことはもちろん、授業に関わる指導案や教材等に関して教員への助言を行ったり、教員に対する研修を行うなど、学校における英語教育の充実を図るためのさまざまな業務を委託しております。
 外国人講師が頻繁に代わるとのご指摘がございましたが、病気等で一時的に代理を行ったケースはございますが、本年度に配置した外国人講師のうち、年度途中に別の講師に交代したケースはございません。
 今後も、子どもたちが英語に興味・関心を持ち、コミュニケーションを楽しみ、子どもたち自身がもっと英語を使えるようになりたいと思えるよう、外国人講師による事業を一層充実させていきたいと考えております。
 以上で、井上議員さんへの答弁とさせていただきます。